PROFILE 建築家プロフィール

濱田 猛

濱田 猛

Takeshi Hamada

所属
株式会社濱田設計測量事務所
所在地
〒572-0848 寝屋川市秦町1番3号
TEL
072-823-7935
FAX
072-825-1287
Mail
info@hamada-design.com
HP
http://www.hamada-design.com/
ブログ
http://www.hamada-design.com/blog/
経歴
1975年 大阪府生
1998年 法政大学工学部土木工学科卒業
2003年 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科造形工学専攻修了
2003年
  |
2005年 株式会社コンパス建築工房
2006年- 株式会社濱田設計測量事務所

2004年- 聖母女学院短期大学非常勤講師
2014年- 京都工芸繊維大学非常勤講師

W0RKS 実績紹介

松屋町の長屋ビルリノベーション

■計画概要
場  所:大阪市中央区
工  期:2013年8月~2013年10月
構造規模:S造5階建(ビルの半分)
延床面積:130.04㎡

鉄骨造5階建て長屋ビルの改修プロジェクトです。
1階は商業テナントとして使用されていたため住戸はエントランスのみで、メインの住居スペースは2~5階です。各階約25㎡ + 階段室という構成で、ワンルームマンションが4つ積層されたようなヴォリューム感。生活に必要な用途を各フロアに分散して配置し、階段室を行き来しながら生活するというなんとも不便な構成です。2階にリビング、3階にダイニングキッチン、4階に水回りと寝室、5階は趣味やバーベキュー、BARを楽しむ多目的ルーム。
それぞれの内装仕上げを少しづつ変化させることによって用途間の変化を強調しています。また、一日に何度も上り下りする階段室はデザイン関係の仕事に就くクライアント夫婦のギャラリースペースとしており、日々制作された作品が並んでいます。
決して便利とは言えない積層長屋、でも階段を通るとそこに別の風景が待っている楽しさがあります。
1棟(長屋なので半棟?)で何通りもの楽しみがある住まい、クライアントはその個性を楽しんでいます。

撮影/笹倉洋平

House T

■計画概要
場  所:大阪府寝屋川市
工  期:2012年9月~2012年12月
構造規模:木造2階建
敷地面積:111.67㎡
建築面積: 64.85㎡
延床面積:110.65㎡

■キーワード
立体迷路、浮遊する木の箱、シンプルな外観

■背景・敷地環境
敷地は大阪府郊外の閑静な住宅地に位置します。真北で4m道路と接する他は全てを隣地に囲まれた34坪弱の土地です。

■建築プラン
計画にあたっての施主からの要望としては主に次の3点でした。
①とにかく明るい家!
②超シンプルな外観(まっしろな豆腐のような外観)
③1階にリビング、水回りを!

これを踏まえ、敷地の状況を判断した結果、南側に中庭を設けてそこに大きく開くプランとしました。逆に北側の道路には完全に閉じることで超シンプルな外観を実現させながら明るく開放的な内部空間を目指しました。
1階にリビング、ダイニング、和室と水回りを設け、リビングと和室が中庭を取り囲んでいます。リビング上部に大きな吹抜けを設けることで中庭からの採光を確保すると同時に上階とも視覚的に繋がる計画です。

2階には主寝室+子供部屋とそのそれぞれにロフトと小屋裏収納を設けました。ロフトは吹抜けに面した”オープンなロフト”と閉じた”クローズなロフト”の2種類とし、パブリック空間とのつながり方を調整しました。吹抜けを通してパブリックな1階とプライベートな2階が緩やかに繋がります。

リビングを中心に2つの吹抜やブリッジ、ロフトが複雑に組合さった立体迷路のような空間です。


撮影/笹倉洋平

京田辺のリノベーション

■計画概要
場  所:京都府京田辺市
工  期:2012年2月~2012年11月
構造規模:木造平屋建
敷地面積:482.3㎡
建築面積:96.23㎡
延床面積:96.23㎡

■キーワード
築50年の住宅をリノベーション、再建築不可物件を破格値段で購入
ワークショップでローコストを実現、自然素材にこだわる、成長する家

■背景・敷地環境
敷地は京都府京田辺市、京都や大阪といった都心から電車で1時間ゆられる郊外地です。
昔ながらの杉板壁、瓦屋根の住居が比較的ゆったりと建ち並ぶエリアで、土地の1区画が平均100坪以上と大きく、平屋建てが多い、また自然豊かで緑が多いこともあって街全体がほのぼのとした雰囲気を醸し出しています。
以前より都市型のライフスタイルに疑問を持っていたオーナー家族(両親+子供2人)は、このエリアで家探しを行っていました。そんな中、古家付で土地面積150坪弱の今回の土地が破格の値段で売りに出ました。競争率の高かった土地をタッチの差で入手し、今回のリノベーションがスタートしました。

■破格の値段 + 補助金でトータルコストを抑える
実はこの土地、両サイドの敷地に押しやられひとつだけ道路から奥まっており幅1.2mの路地で敷地までアクセスするため、建築基準法の『接道』が取れておらず再建築が不可な土地でした。
その結果、周辺の相場からは破格の1400万円で土地+建物を入手することができました。
「再建築が不可」ということと、「ピカピカの新築住宅」に興味がなかったということで、自然とリノベーションという流れになりました。ただ、古いものを生かすという考え方は良いのですが家族4人の安全も確保しなければなりません。そのため耐震診断+耐震改修工事を実施することになりました。
京田辺市は耐震改修工事に100万円の補助金を出しており、今回もしっかりと頂きました。

■ワークショップでローコストを実現
トータルコストを抑えるため、工務店に完全委託する方式ではなく、『できるところは自分たちでする』をモットーに工事をイベント化していろんな人たちを巻き込みながら進めていきました。
具体的には、耐震補強工事や設備配管工事(給排水、ガス、電気)という専門技術を必要とする工事はプロに依頼し、その他解体や内装工事は全てオーナー家族及びその友人達によって行いました。もともと大阪市内でバーテンダーをしているオーナーはその人脈を生かして毎週日曜日にイベントを開催。
「住宅解体ショー!!」、 「しっくい塗り体験!!」などにバーの常連客が眠い目をこすりながら応援に駆け付け、お昼には北庭でバーベキュー。日頃バーで出している絶品カレーでもてなしました。かくゆう私もこの常連客の一人で、このプロジェクトの主催者でもあります。設計から施工のアドバイザーを引受け、ワークショップを主催しました。
結果、主要な部分を大幅にリノベーションしたにも関わらず300万円というローコストで完成させることができました。

■自然素材にこだわる
いくらローコストとはいえ、使う材料には妥協しませんでした。壁断熱材は羊毛、床フローリングは天然杉、耐震改修に使用した面材はモイス(三菱マテリアル)、壁仕上げはスペイン産天然漆喰。
特に奥様がかなりのこだわりようで、『構造用合板や集成材は接着材を使っているので絶対に使用しないで!』とのことでした。着工当時、あまり気にせず構造用合板を大量に現場搬入した際、激怒され返品となった経緯もありました。
ともかく、最近の新築住宅とは違い、天井断熱材無し、エアコン無し、気密性無し(隙間風びゅーびゅー)、でも何故か快適であたたかい、そんな住まいです。

■成長する家
とりあえずの「引渡し」から1年がたった今でも、バーテンダーのオーナーはFacebookで家の状況をアップし続けています。 「靴箱つくりました!」、「洗面にタオル掛けをつくりました!」など。
今でも時間があればDIYで家の家具をつくり続けています。
「将来は北庭を畑にして、そこにパオ置いて、家具もまだまだつくらなあかんし~~」 20年後の姿がどうなっているかが楽しみなことも、この家の大きな魅力です。


撮影:笹倉洋平

MESSAGE メッセージ

私が大切にするもの。
それは、「人」と「空間」と「時間」です。

「人」を大切にします。
世の中で起こる多くの事件、トラブルはコミュニケーションの不良がその要因の一つではないでしょうか。 あらゆる情報がデジタル化され携帯電話等の通信網が発達して、いろんなことが合理的にシステム化されています。 ただ、社会がどんなに便利になっても人と人との繋がりを断ち切ることはできないと思います。 こんな時代だからこそ、便利にするところはする。その反面、手間をかけるところはかけるべきです。

これをものづくりに当てはめてみると、
○合理化すべきところ::施工方法、材料の流通ルート、施工費作成から金額調整の流れ。
○手間をかけるべきところ::クリエイティブな打合せ、アイデアの作成、プレゼンテーションの作成、設計業務


「空間」を大切にします。
住宅であれ、店舗であれ、わたしは空間をつくる仕事をしています。 しかし、ただ箱(容器)をつくるわけではありません。 その空間で活動する人、物などの要素を見極め、編集しなおすことによりあらたな「空気感」を創り出すことを目指しています。


「時間」を大切にします。
ここで言う「時間」とは、建築家と建主が共にする時間です。 いいかえればものづくりの「プロセス」です。 建築家が扱っているものはできあがった「商品」ではありません。 依頼を頂いてから建築家と建主がコラボレーションしてものづくりを行う、その「プロセス」です。 建築家にとって、手掛けた空間の最終形は実に大切です。 ただ、設計から施工、そしてアフターメンテナンスへと続いていく「プロセス」も大切にしていくべきだと考えています。