PROFILE 建築家プロフィール

角 直弘

角 直弘

Naohiro Sumi

所属
(株)一級建築士事務所DNA
所在地
〒604-8166 京都市下京区高倉通綾小路下ル竹屋町393−5
TEL
075-354-5115
FAX
075-354-5157
Mail
info@den-nen.com
HP
http://www.den-nen.com
ブログ
http://www.den-nen.com/info/staffblog
経歴
1964 大阪生まれ
1988 京都府立大学 生活科学部住居学科 卒業
1988 高松伸建築設計事務所 入所
1993 高松伸建築設計事務所 退所
1993 角直弘建築設計事務所 開設
1996 設計組織 Den Nen Architecture 結成
2009 京都府立大学生命環境学科環境デザイン学科 非常勤講師

W0RKS 実績紹介

伏見の家

伏見桃山城・桓武天皇陵・明治天皇伏見桃山陵などの史跡と文教地区に囲まれた閑静な住宅地に位置し、景観条例によって京都の町並みを保全する地域内にあります。
クライアントからの要望はシンプルモダンな外観・明るい室内・高い天井・掃除しやすい高さの窓・風水・京都の気候対策・etc。
建ぺい率50%指定の地域であり、景観条例などの厳しい制約がある中で、一度すべての要望を詰込み再構成した結果、リビングを中心としてスキップフロアで各部屋へと繋がる配置の心地良い空間になりました。1階の下段は土留を兼ねた鉄筋コンクリート造、その他を木造とした混構造にて構成し、高低差のある土地の形状を生かしたスキップフロアとなっています。
リビングとダイニングは中庭を囲む様にL型の配置となっており、中庭によって緩やかに隔てられた開放感のある空間になっています。
対照的にキッチン部分は籠もることができる場所として、ラワン板貼の壁にゆるやかに遮られた落ち着いた雰囲気の空間としています。風水の約束事で、家の中心に吹き抜けを作らないための工夫として、ラワン板貼の壁の中央部分が山折れした形状となっており、LDK空間のアクセントになっています。
外観は周囲との調和をはかり、重心の低いファサードとし、京町家の要素を残す様に平入屋根としてデザインしています。またセキュリティー面の要望で外部から内部の様子が伺えない様に、道路面に対して閉鎖的なデザインとしています。
その効果として、交通量の多い前面道路の騒音も、LDKでは感じられないほど静かでゆったりとした内部空間が出来ました。

苦楽園の家

苦楽園口駅より徒歩15分、いわゆる閑静な住宅地に建つ。
大きな敷地の多い中、比較的コンパクトな敷地面積の上、さらに風致地区のため外壁面の1.5M後退も義務づけられる。結果、都市型の狭小住宅を設計するように、許容建坪率いっぱいに床面積を設定し、建築面積不算入のバルコニーを目一杯張り出した計画とした。1.5M後退はなかなかにやっかいで、余った感の強い隙間になってしまいがちだ。そのスペースを日常空間とするべく、ほんの少しもったいぶったアプローチとニワ、バックヤードとしての空間を設けている。開口部やルーバー、種々の壁を慎重に配置しながら、ニワの緑が日常空間に取り込まれるよう、隣地との境界を切断している。
屋根は高度地区斜線にそった傾斜を持った切り妻とし、できるかぎりの空間体積を持たせている。外壁はレッドシダーの箱のまわりにモルタル掻き落としの壁とルーバーがはり付くような構成。
1階は回遊動線をもつ水回りと寝室。これに加えて自転車の整備を行うなど、趣味のスペースとして使用される玄関土間がある。ガラス張りのこの空間はニワと一体になり垂れ壁やルーバーにより隣地の気配を感じることなく過ごす場所になる。2階はLDKが主に配され、南東側に開く阪神間の街並を遠望することができる。ニワからのびるアオダモも頭をのぞかせ季節を感じさせる。

佐用の別荘

敷地はテニスコートや温泉施設を備えたゴルフ場内にある別荘地の一角、都市計画区域外となる場所である。道路から敷地奥に向けて上がっていく高低差最大6Mの斜面地。敷地奥にはゴルフ場の樹々やフェアウェイが広がる。
クライアントであるゴルフ好きのご夫婦はフェアウェイを望みながら、一族や友人が集まって団らんのひとときをもちたいと望まれた。フェアウェイを望みながらの団らんを得るには道路面より6Mの高さにLDを設けなければならない。この年配のご夫婦に6Mの高低差を楽しみながらLDへ上がっていけるようにしたいと考えた。当然の事ながら敷地奥に広がる風景をLDへ取り込むような計画とした。
道路から見ると斜面に平行な大きな軒の出を持つ3つの片流れ屋根が並び、平面的には大きなボリュームが2つ、廊下を介してクランクしながらつながるような形状としている。
また、斜面に沿うように4つの床レベルで構成する事で建物のボリュームも出来る限り低く抑えている。ボリュームオーバーな建物が多いこの別荘地の環境になじむべく、そして品格が感じられるような建築になればとの思いからである。高さのあるRC打放し壁と薄く水平に伸びた屋根で構成されたアプローチは、門扉から中に入ると左手に中庭の樹々を望み、右手にはベンチが配置され玄関へと続いていく。
玄関に入ると敷地奥へと続く廊下があり、玄関からLDKまでをつないでいる。廊下は一番高い位置にあるDKにたどりつくまでに3つの階段を上がり、合計3mの高低差となっており、その途中に各室や水廻り、2Fへの階段が配されている。
LDKの東面と南面は水平垂直の枠と杉の羽目板による面のコンポジションによって切り取られたガラスを介し、その向こうに見えるフェアウェイや周りに広がる自然を一望出来る。またDKの南面には大きなテラスを配置し、グリーンを望みながら家族みんなでバーベキューなど屋外で楽しめるスペースとした。
大きな自然につつまれたこの環境で、アウトドアでの楽しみとあわせ、住まいの中でもゆっくりと流れ行く時間と交流を楽しむ場所として使っていただけるのではないかと思う。

MESSAGE メッセージ

住まい手と土地の固有性を空間として紡ぎ出すことに魅力を感じています。単純な箱ではない機能性と精神性をもった美しい生活背景としての住まいを提案できればと思います。条件が難しければ難しいほど、オリジナリティーのあふれるいい建築になるのではと考えてますから、どんどん無理難題をふっかけてください。