PROFILE 建築家プロフィール

鈴木 道子

鈴木 道子

Michiko Suzuki

所属
エム・アイ・エー・アーキテクツ有限会社
所在地
〒550-0003 大阪市西区京町堀1-15-8NICE京町堀ビル 8F
TEL
06-6445-9671
FAX
06-6445-2177
Mail
info@mia-archi.jp
HP
http://www.mia-archi.jp/
経歴
    北海道札幌市生まれ 
1977 大阪市立大学生活科学部住居学科卒業
1978~1988
  (株)浦辺設計勤務
    病院・ホテル等を中心に建築、インテリアの設計に携わる
1988 S.U.E.DESIGN OFFICE 設立
1994 M.I.A.ARCHITECTS に改称
1999 第16回まちづくり設計競技(神戸市) 入賞
2000 エム・アイ・エー・アーキテクツ有限会社 に改称
2001 関西電力住まいの設計コンテスト 「高安の家」 優秀賞受賞
2004 静岡県住まいの文化賞 「ライフハウス友だち村」 佳作
2006~2013
   帝塚山大学 非常勤講師
2010 第11回人間サイズのまちづくり賞(兵庫県知事賞)
   「雄岡山保育園」 受賞

W0RKS 実績紹介

京町堀の家

元々、中小規模の工場、住宅、店舗、事務所ビル等が混在する地域だったが、大きな公園が近い為、10数年前から高層マンションが建ち始め、それに伴い飲食店等の店舗も増え、急激に地域の人口が増加してきている。
それらに加え、休日の界隈は他所からの親子連れ等の人出も多い。
敷地周辺はこのような旧いテナントビルや店舗の間にオフィスビル、マンションが立ち並ぶ新旧混然とした街並みにある。
敷地は北側約13m道路に面した商業地域。2面道路のL型不整形で、西側に間口が広く、南面、東面、及び北面の一部は隣地建物が境界近くまで迫り、将来共ビル、マンション等中高層の建物が建つ可能性が高く、住環境として良好とは言い難い。が、敷地西側は、公園へのアプローチ通路となっており、緑豊かな環境にダイレクトにつながる。

こうした雑然としたまちなかの環境に建つ住まいとして、周辺を完全に遮断するのではなく、その中に異質な形態を投入することにより、周辺との緩やかな隔離を意図した。つまり、このような環境の中で子育てする“住まい”として、強固な外皮を持ちながら、内に柔らかな優しいものを包み込む(守る)イメージがあった。
周辺に対して決して閉じずに、どこかに接点を保ちながら、住まう家。
夜になるとそこから生活の光がこぼれ、人影が映り、まちなみに温かな光が落ちる。
竣工してから半年が経つが、シンボルツリーのヤマボウシと共に既にまちなみの風景の一画になっているように感じる。

ならまちの家

ならまちに建つ築80年以上の町家の全面改修工事。ならまち町家内部改修モデル事業及び都市景観形成地区建造物保存整備事業の補助を受けた改修工事でもある。
住まい手は50代ご夫婦と中学生のお子さん1人の3人家族。中庭型町家の雰囲気を気に入られ、部分改修しながら長年暮らしてこられた。が、耐震診断の結果、倒壊の危険性が高いことに加え、使い勝手や性能上の問題が多々あることから全面改修を決心された。
重厚感のある民家の雰囲気や思い出を大切にしつつ、モダンで機能的な間取りに一新すること、使用していない別棟の蔵を主屋とつなげ子供部屋として機能させること等を求められた。
工事は、既存の軸組のみにした構造体の耐震補強から始まり、外観は既存の形象を再生しながら、内部を新たに創生していく全面改修となった。
個別に仕切られていた和室の続き間や昼間も暗い台所、食事室等の共用空間は中庭に開放させ緩やかにつながる一体空間とした。水回りは台所から一直線で続く機能的な間取りとし、子供部屋である蔵へとつなげている。
蔵は1階、2階を廻り階段でつなぎ、主屋2階の主寝室と中庭を挟んで対面する。
いずれの空間も漆喰や木、和紙等自然素材を中心に使用し、既存の構造材や造作材の再利用等も含め、施主と検討を重ねた。
空間の思い出を聴き取り、それらを随所に残しながら、どの空間にも自然の光や風が抜ける。家族の気配が感じられる程よい距離感で其々の居場所があり、居心地の良い住まいに生まれ変わった。

岩倉の家

敷地は京都洛北の閑静な住宅地に在る。
近隣に同時期に分譲され、着工したハウスメーカーの住宅が同じようなプランや表情で3軒建ち並ぶ。その狭間で、新たに生まれた通りに面して和み空間を演出するような景色や環境を創出したいと考えた。且つ、近隣建物からの距離等も考慮し、プライバシーを確保しながら自然を享受出来るコートハウスを提案した。
家屋は通りから一間半程引いて建ち、その間にスロープのあるアプローチと季節毎に目を楽しませるような植栽計画をしている。
玄関を挟んで西側は切妻の大屋根が葺きおろし、東側は片流れの平屋根が下る。いずれも高さを抑え、木々と調和する優しい表情で通りと向き合う。
住まい手は30代前半のご夫婦と小さなお子さんの3人。ご夫婦とも大学の研究者で多くの書物に囲まれた空間が住まいの中心となる
ことを求められた。
間取りは書庫兼仕事部屋兼居間としての空間を中心に中庭に面して巡るようにダイニング、キッチンへとつながる。それらの共用部分を1階にまとめ、プライベート部分は2階とし其々が中庭へとつながる。
吹抜け天井まで続く書棚のある仕事部屋は天窓からの柔らかな光が差し込み、ヤマボウシのある中庭と共にこの家の住まい手の生活の中心となっている。

MESSAGE メッセージ

“住まい”に対する想いやイメージは、人により異なります。
又、その想いは、幼い頃の心象風景や、積み重ねてきた各々の人生の延長上にあるのではないでしょうか。
設計着手前にその敷地に立ち、私はいつも様々な情景を思い浮かべます。土地から受けるエネルギーや、周辺環境からのイメージ、そして、住まい手の方達が語られる想いを重ね乍ら、安らぎのある家族の風景や、内部に溢れる光・風・緑のそよぎを想像します。
それらはいつも固有の様々なイメージ゙を持って立ち現れてきます。
“住まい”とは…私にとって、生活の基本であり、根幹の場だと思っています。
そして、住まい手にとっては、安らぎや居心地の良さが最も重視されなくてはならない場だと思っています。
設計プロセスの中で、私がいつも大切にしているのは、そこで営まれる生活を包み込む空間が持つ、精神的な影響力です。
そこに集う家族の生活や、意識の変化に、柔軟に対応し、豊かに包み込み、そこに会話や互いへの気遣い、いたわりが自然に生まれる様な、きめ細やかな配慮が為された空間、季節の移ろいを感じ、心豊かに過ごせる空間…そんな空間づくりを、住まい手の想いを大切にし乍ら、優しさを込めて、作っていきたいと思っています。

MASTERPIECE 代表作

【住宅】
2005 西脇の家
    松ヶ崎の家
2007 比叡平の家
    叡山坂本の家
    山ノ内の家
    住吉山手の家
2010 天満の家
2011 岩倉の家
2012 上汐の家
    伊丹市の家
    南城戸町の家
2015 ならまちの家

【集合住宅】
2002 ライフハウス友だち村(高齢者対応マンション)
2010 Minoa-Ru

【保育所】
2008 雄岡山保育園
2009 ゆめいろ保育園
2011 鈴蘭台北町保育園
2014 紅葉夢保育園
     子音つばさ保育園
     山のまち保育園
2015 和泉ひかり保育園
    稗田保育園