PROFILE 建築家プロフィール

井上 久実

井上 久実

Kumi Inoue

所属
井上久実設計室
所在地
〒546-0041 大阪市東住吉区桑津2-6-15
TEL
06-6719-5258
FAX
06-6719-5274
Mail
kumi@a-net.email.ne.jp
HP
http://kumiarch.com/
ブログ
https://www.facebook.com/pages/井上久実設計室/1492780680936313
経歴
1967年     奈良県奈良市生まれ
1990年     大阪市立大学生活科学部住居学科卒業
1990-1998年  株式会社大林組建築設計部勤務
1998-1999年  ロンドン在住
1999年11月  神戸市三宮裏線整備アイデアコンペ優秀賞受賞
2000年1月   井上久実設計室開設
2000年8月   こうべ・長田東部地区『復興まちづくり型分譲住宅』設計コンペ(特別賞受賞)
2003年     日本建築協会「工高生デザインコンクール」審査員
2007年     日本建築協会「工高生デザインコンクール」審査員
2009年     大阪府建築士会「第1回建築人賞」(加美の山荘)
2010年     大阪ガス第1回住まいの環境デザインアワード特別賞(河内長野の家)
2010年~2014年 大阪府公共建築設計コンクール審査員
2014年     第16回奈良県景観環境デザイン賞(奈良県建築士会会長賞)(奈良帝塚山の家)
        住まいの環境デザインアワード2014(大阪ガス賞受賞)(大津の家)
2015年     大阪府建築士会「第7回建築人奨励賞」(風の子保育園)
        住まいの環境デザインアワード2016
2017年     大阪府建築士会「第9回建築人奨励賞」(彦根の家)
        奈良県景観環境デザイン賞2016(ランドスケープ部門賞)(SAKURAの家)
        奈良東向商店街アーケードデザインコンペ審査員
        第2回きのくに建築賞審査員

2018年     大阪府建築士会「第10回建築人奨励賞」(富田林の家2)
        JIA近畿支部第1回住宅部会賞入選及び審査員賞(中村好文賞)(富田林の家2)
        第21回木材活用コンクール木材活用賞(竹谷商事新社屋)
        箕面船場エントランス実施設計業務委託設計者選定会議構成員
2019年    大阪府建築士会「第11回建築人賞」(CROSS ROOFの家)
        建築家のあかりコンペ2019最優秀賞(anklet)
        屋根のある建築作品コンテスト2019 八島正年/八島夕子賞(桜守の家)
2020年    第7回木質建築空間デザインコンテスト主催者賞(富田林の家2)
        和歌山県有田市統合中学校新築工事設計プロポーザル審査員
~2021年    摂南大学理工学部建築学科非常勤講師

インスタグラム https://z-p15.www.instagram.com/kumi_arch/

W0RKS 実績紹介

cross roofの家

敷地は枚方市光善寺駅から北東の高台にあり、敷地内には老朽化した母屋と離れがありました。今回、御両親が離れに移り、母屋の跡地に実家に戻ってくる子世帯の新居を作る計画でした。
高台からの眺望や敷地内や街の豊かな緑を、この家族だけでなく街の人々と共有すること、2世帯の距離感を再構築することをテーマとしました。
建物をリビングやダイニングが収まる南北に大きなボリュームを中心とし、その東西に寝室やユーティリティーなどの小さな4つのボリュームが付加される平面構成としました。建物の分節化により外部空間が凸凹し、遠近双方の距離感で街と繋がり、また、各ボリュームの屋根の勾配の向きを互い違いとし、住宅地にふさわしいスケール感と、交差した屋根や外壁上部のガラスを通過して街への視線が抜け、眺望を確保しました。
リビングダイニングからは、南側の大開口と西側のポーチ越しに、豊かな緑と眺望を楽しむ事が出来ます。離れに面した北側の個室はご両親が気軽に訪れ易い様に、子供室や和室を配置し、開口部の位置や大きさを操作し、プライバシーを守りつつ、離れを含めた敷地全体での家族の住まい方に配慮しました。
新旧の住まいの対比と調和の中で、街と人と家族の新たな景色が育まれる事を楽しみにしています。

水仙福祉会本部事務所 すいせん

長年、大阪市北部において児童・障がい児(者)・高齢者までの広い対象者に対して、様々な開拓的、先駆的福祉活動を展開してこられた社会福祉法人の新しい本部事務所です。
利用者主体の観点から展開された活動は、地域住民との関わりが密接なことから、この新本部がどのように地域に貢献できるかをテーマとしました。
敷地は、水仙福祉会が昭和31年に最初の活動拠点にした「風の子保育園」の跡地です。風の子保育園は耐震上の問題で、別の敷地に新設し、旧保育園を解体して建設することとなりました。
建物は1階を学童保育、知的障害児童の為のデイサービス、2階を本部事務所、
3階を施設職員の大会議室という構成です。
本部事務所という性格上、地域に対して閉鎖的になる傾向がある中、あえて各階をつなぐ階段を屋外に設置し、施設利用者や職員の動きを見せる計画とし、地域に施設のアクティビティを表す計画としました。この階段は子供達の遊び場ともなっています。

施設はヒューマンスケールの家庭的な表情を出すため、構造は木造で、燃えしろ設計を採用し、3階建て準耐火建築物としています。
3階大会議室の木造張弦梁の大空間を支える1820mmのグリッドで構成された2階の事務室と1階の児童施設の内部は、まるで小さな森のようで、子供の身体や活動スケールと合い、身近に木を感じ得る空間となっています。
木造の架構を外部に表し、その上に植栽を施したこの施設が、自然素材が放つ優しさにより、地域の人々の憩いの場となることを願っています。

彦根の家

敷地は、南西に彦根城と護国神社を臨み、西側に往来の多い県道と東側に落ち着いた市道に短辺で接しています。この縦長の敷地に、”静かな生活”が求められました。
南北の両隣の建物が立て込んだ環境の中、隣地境界側に沿って外壁を配置し、その内部に大小の建物ボリュームと中庭が交互に連続する空間構成としました。2つの空間が交互に連続する事で、縦長の敷地の奥行き感が強調されると同時に、喧騒も徐々に減衰され、静かな空間が得られました。
そして、それぞれの空間を繋ぐ、奥行き方向に貫通する”路地”は、時にリビングと一体となり空間を拡張し、時に路地自身が幅を広げ中庭との関係性を深めるなど、単なる通過動線を超えた空間の変化を楽しめるよう考えました。施主が竹を扱っている仕事をされているため、空間をつなぐ仕掛けの一つとして竹を使用しました。
竹を割って、外周部分を利用した材料と、直径方向に割った穴の空いた材料を作っていただきました。天井や建具に使用することで、路地と他の空間がつながり、また空間が拡張するような雰囲気が生まれました。

建物から中庭、中庭から建物の双方向から見える空間の変化と、それに並行する路地空間の拡張的な空間体験が重奏する事で、静けさと同時に豊かさがうまれたのではないかと思います。
最後にこの地域は風致地区で切妻屋根のみしか認められませんでしたが、分節されたそれぞれのボリュームを勾配屋根とする事で、片流れの屋根の連なりが切妻屋根のような心象を与え、彦根の街並みに調和した優しい表情を醸し出しています。

MESSAGE メッセージ

日頃から住宅は<買うモノ>ではなく、<創るモノ>だと言ってきました。住まい手それぞれに生活スタイルがあり、家族があり、夢があるからです。自分たちがおそらく一生住むであろう住まいにこだわって欲しいからです。
それを形にするのが建築家の仕事だと思います。
いわゆる<作品>と呼ばれる建築家のひとりよがりのものではなく、住まい手と一緒になって創り上げた住まいこそが理想であると信じて、日々施主との対話を続けています。

MASTERPIECE 代表作

2007年 加美の山荘
2013年 風の子保育園
2016年 彦根の家 
2017年 竹谷商事新社屋、富田林の家2
2018年 水仙福祉会本部事務所
2019年 夙川の家、桜守の家、Cross Roof