PROFILE 建築家プロフィール

岩田 章吾

岩田 章吾

Shogo Iwata

所属
岩田章吾建築設計事務所
所在地
〒532-0027 大阪市淀川区田川2-7-9
TEL
06-6195-7377
FAX
06-6195-7388
Mail
iwatashogo@bird.ocn.ne.jp
HP
http://www.iwatashogo.com
経歴
1964年 大阪生まれ
1987年 大阪大学工学部建築工学科卒業
1989年 同大学院修了
1989年 竹中工務店設計部
1999年 米国コロンビア大学建築計画大学院入学
2000年 同大学院修了
2000年 米国コロンビア大学客員研究員(~2001年)
2002年 神戸大学大学院後期課程 (博士課程)入学
2005年 岩田章吾建築設計事務所設立
2006年 神戸大学大学院卒業(博士号取得)
2012年 武庫川女子大学教授(~2023年度)
2024年 大阪芸術大学教授

1996年 バルセロナサッカー場周辺地域再開発
      国際コンペティション 3位
1999年 大阪建築コンクール 渡辺節賞
2005年 日本建築士事務所協会連合会 日事連建築賞・優秀賞
2007年 アイカジョリパット施工例コンテスト 最優秀
2007年 東横堀川ライトアップデザイン アイデアコンテスト 佳作
2008年 環境色彩コンペティション 特別賞
2008年 芦原義信賞 奨励賞
2008年 SDA賞 入賞
2010年 SDレビュー 鹿島賞(大賞)
2013年 第15回人間サイズのまちづくり奨励賞
2014年 第16回人間サイズのまちづくり賞(知事賞)
2016年 第8回建築人賞
2021年 第5回きのくに建築賞 佳作
2022年 第14回建築人賞
2023年 第25回人間サイズのまちづくり賞(知事賞)

W0RKS 実績紹介

千里の家

この住宅は夫婦と子供一人のための住宅として計画された。周辺環境に開かれた部分と、家族の住まいとしてのパーソナルな部分を、ひとつの連続空間の中のグラデーションのように構成することを意図した。半地下のエントランスからリビング、ダイニング、ライブラリー、寝室、光庭、屋上のテラスまでを6つのフロアレベルによって構成し、これらを吹抜け形式を使用せずに、スキップフロアとして1m前後の高さでつないでいった。このことはそれぞれのフロアを舞台のように「開かれながら閉じられている」空間、視覚に偏重した連続性とは異なる身体感覚を伴った連続空間とすることを可能にしている。この連続空間を積み重ねることで、この住宅はワンルームでありながらパブリックとプライベートの階層を幾重にも形成している。構造は半地下となっているエントランスを鉄筋コンクリートとし、その上に鉄骨のフレームを乗せる形式とした。鉄骨造を選択したのは主に二つの理由による。第一に、スキップフロアを構成するスラブをできる限り薄くすることで、住宅のどこにいても全体を見通せる空間とするためであり、第二に道路側のボリュームをキャンチレバーとすることで、駐車スペースを前庭として広く周辺地域に開くためである。

撮影:永石秀彦

大和棟の家

この住宅は、奈良市の西、昭和30-40年代に開発された比較的区画の大きな住宅地に位置する。クライアントの家族構成は夫婦と子供一人、犬一匹である。クライアントからは、諸室など具体的要望に加え、今日的でありながら、どこかに日本的なものを感じさせる住居が求められた。議論を重ね、奈良地方の民家に特有の大和棟の形態を引用した大屋根による大空間を住まいの中心にすえることとした。
われわれが大和棟という形態を選択した理由は、地域特有の意匠であることは言うまでもないが、大和棟の持つ形態的特質にもよる。つまり大屋根という強い形態でありながら、二つの異なるスケール感覚が存在することや、二つの屋根の間にさまざまな隙間の空間を生み出されることなどにである。
リビング・ダイニングは上屋根による高い空間、寝室やその他の部屋は低い屋根の空間と、用途に応じて二つのスケールを使い分けながら、二つの屋根の重なり合う部分を多くとることで、二つのスケール感が意識できるように空間を構成した。また、棟を支える柱は設けず、屋根は外壁周りの柱と壁に乗せ掛けるような形式を採用することで、内部空間の空間的自由度を高めるとともに、屋根の存在を際立たせた。
二つの屋根の間の空間は、特に用途は設定せず、住み手が自由に使いこなす場である。この両サイドに設けられたハイサイドライトは外部からの光を透過、反射させることで内部空間に柔らかな光をもたらしている。2階の両サイドは低い屋根によって天井高さが押えられているが、屋根に設けられた開口を抜けると、明るく吹き抜けた雲の上のようなこの空間に至る。この場所からは妻側の窓を通じて遠く若草山を望むことができる。

撮影:松村芳治

MESSAGE メッセージ

私たちの生活を取り巻くさまざまなモノたちはどんどん軽く、速くなりつつあります。一方、住宅や建築はこれらのモノたちと比べると明らかに重く、遅い。でも、私はこの重く、遅いことは、人に安心感や、深く考えることをもたらすすばらしい特性だと考えています。長きに渡って人々の生活を支える住宅や建築は、移り変わっていく舞台装置であるよりはくらしの舞台そのものであるべきだと考えています。

建築は、単なる道具ではなく、築き上げてきた文化や歴史を土台に、人々の希望や夢によって作られるひとつの世界=宇宙です。すべてのものが商品化していく社会の中で住宅は人々の独自の世界=宇宙を守るための砦となります。

MASTERPIECE 代表作

2006年 岡本ハーベスト保育園
2007年 ハーベスト医療福祉専門学校
2010年 千里の家
2011年 えいの里保育園
2012年 ケアセンター屋島西
2013年 敬愛館
2014年 大和棟の家
2016年 木太の家
2019年 H学院 南館
2020年 K配送センター
2021年 伏見の家
2021年 紀伊の廻楼(かいろう)
2022年 高松の増築